従業員満足度調査

職員満足度(ES)向上の取組みとその成果

職員満足度(ES)向上の取組みとその成果

福井県済生会病院は460床を有する福井県の中核病院であり、地域の保健、医療、福祉の充実と発展を目指している。2011年に創立70年を迎えた。現在の場所に新築移転して、今年で19年目を迎える。

 

病院では「患者さんの立場で考える」を理念として掲げ、職員全員がその理念に方向性を合わせ、組織で働くうえで大切な価値観を共有し、地域で選ばれる病院を目指している。そして、一方的に与える医療ではなく、患者が求めている医療サービスを追求し行動することが真のホスピタリティと考え、経営改善を進めている。

 

2012年度は、これまでの病院経営が評価され、職員300人以上を対象とした大規模部門における日本経営品質賞を受賞した。医療機関の受賞は国内初だという。

 

受賞理由は、「理念の共有・浸透度から行動を振り返る学習の常態化」「医師と職員が一体化した医療サービス提供の革新と全国比較で高水準の入院・外来の患者満足度の実現」「組織マネージメントを意識した現場改善および組織風土改善ツールの展開とその学習の仕組み」「地域医療における連携医との良好な関係構築と選ばれる病院づくりの革新」である。これらは、いずれも職員が病院の方向性を理解し行動することが必須であり、職員が働く目的を意識することや仕事への満足感がなければ決して評価されない項目である。

 

しかし、これまでの病院経営は決して順風満帆ではなく、様々な改善を繰り返しながら今日に至っている。特に大きな改善の要因になったのが、職員の増加による満足度の低下である。移転当時は職員数が約500人であったが、現在は約1300人で、移転時の約2.5倍になった。職員満足度(ES)の低下は、職員増による様々な弊害の発生で、2007年頃がピークとなった。改善策も当然実施したが、一つのアクションプランだけでは対象職員が限られ効果が低いと考え、多くの職員が関係する様々なプランを実施し、高い効果を得ることを考えた。

 

2007年頃のES低下のピーク時は、職員数が1000人を超え、組織の連携・情報共有・ベクトルの統一などがむずかしくなった時期であった。そこで「患者さんの立場で考える」という理念のもと、病院全体の医療サービスの質を向上させるツールとしてISO9001規格、BSC、シックスシグマの三つの手法を導入した。それらを融合させたシステムをSQM(済生会クオリティーマネージメントシステム)と呼び、組織の方向性を統一すべく運用を開始した。

 

SQMのなかで、ESの低下についてさらに分析した結果、入職年代別で5〜10年の職員が特に不満足であることがわかった。そこで、対象となる年代職員にヒアリングを実施し、原因を調査した結果、仕事に対する悩みよりも、仕事以外の結婚、出産、子育てに関する悩みが多く聞かれた。仕事面では、忙しい職場環境や、若い世代とベテラン世代に挟まれて仕事をする環境などから、仕事に対するモチベーション低下が見られた。

 

現場で働く職員の満足度が低くては、患者さんに価値あるサービスを提供することはできない。「患者満足度(CS)向上=職員満足度(ES)向上」と考え、3ヵ年ビジョンの学習と成長の視点で「職員満足度向上」を戦略目標とし、重点的に改善する年度目標に「働きがいのある職場を目指して」を掲げた。さらに院内プロジェクトを立ち上げ、組織横断的に解決策を図るなど、ES向上のための様々な取組みを始めた。

 

(中略)

 

このような2年間の取組みの結果、2008年度のマネージメントレビューでは、毎年行っている職員アンケート調査でESが対前年比6〜10%増加したという結果が出た。「ES向上」のため「働き甲斐のある職場を目指して」を目標に掲げ、様々な取組みを行ってきた効果が確認できたと言えるだろう。

 

月刊保険診療 2013/4号より抜粋


ホーム サイトマップ