従業員満足度調査

社員満足度で安全意識アップ

社員満足度で安全意識アップ

アステムは空調用吹出口、吸入口、ダンパー、排煙口、フィルターなど空調用付属機器の製造販売を行っている。製品在庫を一切持たず、どんな半端なサイズや色でも受注後、中2日で発送する体制を整え、「短納期、低価格、高品質」のスローガンのもと、レスポンスのいい製造業を目指し、生産活動を展開。販売エリアは、首都圏を中心に北海道から沖縄までをカバーしている。

 

同社が親会社の倒産という苦境から回復したのも、短納期をセールスポイントに徹底した「顧客満足度主義」を貫いたことが大きな要因となった。

 

そんな同社があるきっかけで、平成14年度に厚生労働省方式社内コミュニケーション診断、いわゆる従業員意識調査を実施。その結果について、同社の野口敬志社長は「がく然としましたね。賞与もきちっと支払っていましたからまさかこんな結果になるとは…。従業員のモラールの低さが浮き彫りになり、怒りがわいてきて調査結果を持つ手が震えているのが自分でも分かりました。とくに安全衛生の項目は、これ以下はないという最低の評価でした」と当時を振り返る。

 

野口社長の手を震わせた従業員の「自由意見」の一例をあげると、「会社、社長の方針が現場まで伝わってこない」「幹部同士の意見が食い違っている」「査定の基準が不明確」「意見を提言しても変わるような気がしない」など。48件の自由意見のうち、野口社長を救った2つの意見があった。「IT機器の導入など積極性が見られる」「このような調査をするのは会社が社員のことを考えてくれている証だ」とする評価だ。

 

この貴重な意見を裏切ってはならないという思いの一方で、従業員の帰属意識の低い状態では会社の発展は望めないとの危機感を強めた。そこで評価のなかでも最も低かった安全衛生管理を通して、従業員とのコミュニケーションを良くし、「人づくり」を推進しようと決意したという。

 

これまでの顧客満足度主義から一転して、社員満足度ナンバーワンを目指す企業を宣言した。社員満足度主義の本気度をうかがわせるこんなエピソードがある。

 

ある日、事務職の女性が社長室に入って来るなり、不満をもらした。取引先から電話があってどうやら理不尽な要求をされ、困り果ててしまったというものだった。事実関係を正確にその従業員から聞き取った結果、野口社長は「分かった。その会社との取引は中止する。私から連絡しておく」と話したそうだ。その女性従業員がすがすがしく社長室を後にした姿が目に浮かぶ。

 

また、短納期をセールスポイントにしているため、突発的な受注も多く残業がしばしばある。パートの多い同社では、夕食の仕度などの関係から残業があると困るため、始業時刻を早める措置を取った。さらに従業員の休みを取得しやすくするため、多能工化することによって、誰でも休んだ人の作業の穴埋めができるようになった。

 

野口社長のトップとしての決意の根底には、「従業員を大事にしよう!」「安全・快適な職場を作ろう!」「従業員の意見を経営に反映させよう!」の3つがあり、この3つの歯車が安全衛生という”船”のなかでゆっくり回り始めた。

 

 

安全スタッフ 2012/8/1号より抜粋


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